様々なトラブル事例について
賃貸管理コラム
前回のコラムでは、管理方法の1つである『サブリース』とほかの管理方法との違いについて
お話しました。(気になる方はこちらをどうぞ→意外と知らない、サブリースとの違いとは)
今回は、実際に賃貸経営を行っていくうえでどうしても避けては通れない“トラブル”について
どういったものがあるのか、過去の事例を参照しながら見ていきたいと思います。
賃貸経営で起こるトラブルは、大きく分けて2つあります。
トラブル① オーナー様と管理会社等
トラブル② オーナー様と入居者様
発生したトラブルのほとんどを占めるが、オーナー様と入居者様の間に起こるトラブル
だと言われています。
では具体的にどういったものがあるのか見ていきましょう。
■トラブル① オーナー様と管理会社等■
賃貸管理を委託した管理会社は、いわば賃貸経営の良きパートナーとなるべき存在ですが、
場合によってトラブルになってしまうケースもあります。
【ケースⅠ】管理契約に関してのトラブル
◎Aさんが管理契約を解約したいと思ってB管理会社に連絡したのに「解約できません」
の一点張りで応じてもらえなかった。
国土交通省の「賃貸住宅標準管理委託契約書」には下記のように記載があります。
この文面を見る限り、管理委託契約を解除するには“(少なくとも)3か月前”に“文書”によって
解約申し入れをする必要があります。さらにプラス3か月の賃貸管理手数料を払えばすぐ解約
できるとも書かれています。
このことから、契約書に書かれている“いつ・どのように”を守ることでいつでも解約できると
いうのがお分かりいただけるかと思います。
つまり、管理会社はオーナー様から管理契約の解除要請があった場合はきちんと応じる必要が
あるということです。
【ケースⅡ】管理会社の管理体制に関してのトラブル
◎契約上では管理会社が対応するようになっていた業務を怠ったため、オーナー様に直で
入居者様からクレームが入ってきた。
通常、管理会社は契約書に書かれた内容に関する管理業務を行う必要があります。
オーナー様に直で連絡が入ってしまい、オーナー様の負担が増えてしまうのはせっかく
管理委託契約を結んだのに意味がありません。
ましてや、入居者からの要望やクレームを放置したことによりオーナー様へ直接連絡が
来てしまった…なんて管理会社は論外です。
管理会社がきちんと入居者様へのクレーム等のを怠る・適当な対応をするなどの状況が
続けば、結果的に入居する人が居なくなってしまい賃貸経営が悪化する可能性もあります。
根本的な改善が見られない場合は、管理会社を変更することを検討した方が良いでしょう。
■トラブル② オーナー様と入居者様■
入居者様とオーナー様間のトラブルについては以前のコラムでもお話しましたが、様々な
種類のトラブルがあります。
(参照:これで安心!入居者トラブル・クレームの対処法)
今回は、前回お話した以外のトラブル事例についてお話したいと思います。
【ケースⅠ】敷金の返還を請求された際のトラブル
敷金返還請求の際のトラブルは、国民生活センターの統計によると、年間およそ
1400件(原状回復費用トラブルを含む)ほどあると言われています。
例えば、住んでいた入居者様が退去される際、「これは経年劣化による破損だから
敷金全額返して!」と言われるケースも実際に起こった出来事のひとつです。
基本的に敷金とは、入居者様が賃料の滞納したり、不注意によって借りている建物に
対して破損・汚損等してしまった修繕にかかる費用等、賃貸借契約から生じる一切の
債務を担保するためのものと考えられています。
そのため、オーナー様は必ずしも預かった敷金全額を返す義務はないのです。
ただ、注意しておきたいのは、契約時に原状回復の義務や原状回復特約を明記・説明
しなかった場合には全額返金しなければならないケースもあるので契約書にしっかり
と明記されていることを確認し、契約時に説明する必要があります。
【ケースⅡ】原状回復にかかる費用に関するトラブル
原状回復とは簡単に言うと入居者様が退去する際、入居時の状態に戻してオーナー様
へお返しすることです。
ケースⅠでもお話ししたように、入居者様の故意・不注意による破汚損は入居者様へ
修繕費用等の負担をしていただきますが、オーナー様が負担するものとしては、通常
使用や経年劣化による破汚損の原状回復費用となります。
ただし契約の際、原状回復特約として以下の一定条件をクリアした内容であれば入居
者様の負担となるケースもあります。
原状回復の範囲に双方の認識の相違があり、それが元でトラブルに発展するケースが多い
ようです。明らかに通常使用ではならないような壁に穴が開いていたり、ドアノブが壊れ
ているような状況でも「普通に使ってたし汚してないからこれは経年劣化の範囲でしょ!」
と言ってくる入居者様もいるので注意が必要です。
反対に、過度な原状回復費用を吹っかけてくるオーナー様がいる…という話もあるのでしっ
かりと双方が納得いくよう退去時には立会を行い、しっかりと見積もりを提示してお話しす
ることが大切です。
これは実際に裁判になった事例です。
もしも、あなたが敷金返還トラブルに巻き込まれてしまった際は、トラブルが複雑化する前に
弁護士などの専門家に相談して早急な解決を図るようにしましょう。
このようなトラブルは、実際いつ起こるかわかりません。
可能な限りトラブルを防ぐためには、入居者募集の際の広告や重要事項説明書、賃貸借契約書、
更新料の具体的な内容・条件など、契約の各段階において明確に記載するのはもちろん、口頭
でもしっかりとお伝えすることで、かなりの確率で抑えることができるでしょう。
トラブルは事前に抑制できるものもあれば、起きてしまった後の対処で方向性が決まるものな
ど様々です。
何かお困りごとがあるオーナー様は一度ご相談されてみてはいかがでしょうか。
不動産の賃貸管理でお悩みのオーナー様は、お気軽にセンチュリーダイソーへお問い合わせ
ください。
不動産に関するご相談はお問い合わせはこちらから!
様々なトラブル事例について
前回のコラムでは、管理方法の1つである『サブリース』とほかの管理方法との違いについて
お話しました。(気になる方はこちらをどうぞ→意外と知らない、サブリースとの違いとは)
今回は、実際に賃貸経営を行っていくうえでどうしても避けては通れない“トラブル”について
どういったものがあるのか、過去の事例を参照しながら見ていきたいと思います。
いったいどんなトラブルが考えられる?
賃貸経営で起こるトラブルは、大きく分けて2つあります。
トラブル① オーナー様と管理会社等
トラブル② オーナー様と入居者様
発生したトラブルのほとんどを占めるが、オーナー様と入居者様の間に起こるトラブル
だと言われています。
では具体的にどういったものがあるのか見ていきましょう。
■トラブル① オーナー様と管理会社等■
賃貸管理を委託した管理会社は、いわば賃貸経営の良きパートナーとなるべき存在ですが、
場合によってトラブルになってしまうケースもあります。
【ケースⅠ】管理契約に関してのトラブル
◎Aさんが管理契約を解約したいと思ってB管理会社に連絡したのに「解約できません」
の一点張りで応じてもらえなかった。
国土交通省の「賃貸住宅標準管理委託契約書」には下記のように記載があります。
(解約の申入れ)
第20条 甲又は乙は、その相手方に対して、少なくとも3か月前に文書により解約
の申入れを行うことにより、この契約を終了させることができます。
2 前項の規定にかかわらず、甲は、3か月分の管理報酬相当額の金員を乙に支払う
ことにより、随時にこの契約を終了させることができます。
第20条 甲又は乙は、その相手方に対して、少なくとも3か月前に文書により解約
の申入れを行うことにより、この契約を終了させることができます。
2 前項の規定にかかわらず、甲は、3か月分の管理報酬相当額の金員を乙に支払う
ことにより、随時にこの契約を終了させることができます。
この文面を見る限り、管理委託契約を解除するには“(少なくとも)3か月前”に“文書”によって
解約申し入れをする必要があります。さらにプラス3か月の賃貸管理手数料を払えばすぐ解約
できるとも書かれています。
このことから、契約書に書かれている“いつ・どのように”を守ることでいつでも解約できると
いうのがお分かりいただけるかと思います。
つまり、管理会社はオーナー様から管理契約の解除要請があった場合はきちんと応じる必要が
あるということです。
【ケースⅡ】管理会社の管理体制に関してのトラブル
◎契約上では管理会社が対応するようになっていた業務を怠ったため、オーナー様に直で
入居者様からクレームが入ってきた。
通常、管理会社は契約書に書かれた内容に関する管理業務を行う必要があります。
オーナー様に直で連絡が入ってしまい、オーナー様の負担が増えてしまうのはせっかく
管理委託契約を結んだのに意味がありません。
ましてや、入居者からの要望やクレームを放置したことによりオーナー様へ直接連絡が
来てしまった…なんて管理会社は論外です。
管理会社がきちんと入居者様へのクレーム等のを怠る・適当な対応をするなどの状況が
続けば、結果的に入居する人が居なくなってしまい賃貸経営が悪化する可能性もあります。
根本的な改善が見られない場合は、管理会社を変更することを検討した方が良いでしょう。
■トラブル② オーナー様と入居者様■
入居者様とオーナー様間のトラブルについては以前のコラムでもお話しましたが、様々な
種類のトラブルがあります。
(参照:これで安心!入居者トラブル・クレームの対処法)
今回は、前回お話した以外のトラブル事例についてお話したいと思います。
【ケースⅠ】敷金の返還を請求された際のトラブル
敷金返還請求の際のトラブルは、国民生活センターの統計によると、年間およそ
1400件(原状回復費用トラブルを含む)ほどあると言われています。
例えば、住んでいた入居者様が退去される際、「これは経年劣化による破損だから
敷金全額返して!」と言われるケースも実際に起こった出来事のひとつです。
基本的に敷金とは、入居者様が賃料の滞納したり、不注意によって借りている建物に
対して破損・汚損等してしまった修繕にかかる費用等、賃貸借契約から生じる一切の
債務を担保するためのものと考えられています。
そのため、オーナー様は必ずしも預かった敷金全額を返す義務はないのです。
ただ、注意しておきたいのは、契約時に原状回復の義務や原状回復特約を明記・説明
しなかった場合には全額返金しなければならないケースもあるので契約書にしっかり
と明記されていることを確認し、契約時に説明する必要があります。
【ケースⅡ】原状回復にかかる費用に関するトラブル
原状回復とは簡単に言うと入居者様が退去する際、入居時の状態に戻してオーナー様
へお返しすることです。
ケースⅠでもお話ししたように、入居者様の故意・不注意による破汚損は入居者様へ
修繕費用等の負担をしていただきますが、オーナー様が負担するものとしては、通常
使用や経年劣化による破汚損の原状回復費用となります。
ただし契約の際、原状回復特約として以下の一定条件をクリアした内容であれば入居
者様の負担となるケースもあります。
【賃借人に特別の負担を課す特約の要件】
① 特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること
② 賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて
認識していること
③ 賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること
(■国土交通省:【原状回復をめぐるトラブルとガイドライン】より引用)
① 特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること
② 賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて
認識していること
③ 賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること
(■国土交通省:【原状回復をめぐるトラブルとガイドライン】より引用)
原状回復の範囲に双方の認識の相違があり、それが元でトラブルに発展するケースが多い
ようです。明らかに通常使用ではならないような壁に穴が開いていたり、ドアノブが壊れ
ているような状況でも「普通に使ってたし汚してないからこれは経年劣化の範囲でしょ!」
と言ってくる入居者様もいるので注意が必要です。
反対に、過度な原状回復費用を吹っかけてくるオーナー様がいる…という話もあるのでしっ
かりと双方が納得いくよう退去時には立会を行い、しっかりと見積もりを提示してお話しす
ることが大切です。
これは実際に裁判になった事例です。
オーナー様である貸主のAさんは、入居者様である借主のBさんに対して4年前に下記の内容で居住用賃貸契約
を結びました。
・賃料月額 21万7000円
・共益費 月額1万8000円
本件の契約書には、更新料の支払いについて『原状回復義務として、契約終了時には賃借人は自己の費用を
もって遅滞なく原状回復(具体的内容も記載あり)の処置をとり賃貸人に明け渡す』と記載がされていまし
たが、貸主Aさんは借主Bさんが退去前2年間の賃料及び共益費を支払わず、退去にあたり何ら補修をしなか
ったため、貸主Aさんがカーペットの敷替えや壁等のクロスの張替え等の原状回復工事費用(65万6785円)
を支払ったとして、借主Bさんにそれらの支払を求めました。
納得しなかった借主Bさんとトラブルになってしまったことから、裁判に発展してしまいました。
これに対して裁判所は、原状回復の特約及び別記の「修繕負担項目」により損耗の程度に応じた賃借人の
負担など、諸々の内容を精査したうえで適正な金額を出し、借主Bさんは貸主Aさんへ35万8682円を支払
うよう命じました。
その後、借主Bさんは納得できず控訴しましたが、控訴は棄却されたそうです。
(東京地方裁判所判決:平成6年8月22日)
を結びました。
・賃料月額 21万7000円
・共益費 月額1万8000円
本件の契約書には、更新料の支払いについて『原状回復義務として、契約終了時には賃借人は自己の費用を
もって遅滞なく原状回復(具体的内容も記載あり)の処置をとり賃貸人に明け渡す』と記載がされていまし
たが、貸主Aさんは借主Bさんが退去前2年間の賃料及び共益費を支払わず、退去にあたり何ら補修をしなか
ったため、貸主Aさんがカーペットの敷替えや壁等のクロスの張替え等の原状回復工事費用(65万6785円)
を支払ったとして、借主Bさんにそれらの支払を求めました。
納得しなかった借主Bさんとトラブルになってしまったことから、裁判に発展してしまいました。
これに対して裁判所は、原状回復の特約及び別記の「修繕負担項目」により損耗の程度に応じた賃借人の
負担など、諸々の内容を精査したうえで適正な金額を出し、借主Bさんは貸主Aさんへ35万8682円を支払
うよう命じました。
その後、借主Bさんは納得できず控訴しましたが、控訴は棄却されたそうです。
(東京地方裁判所判決:平成6年8月22日)
もしも、あなたが敷金返還トラブルに巻き込まれてしまった際は、トラブルが複雑化する前に
弁護士などの専門家に相談して早急な解決を図るようにしましょう。
まとめ
このようなトラブルは、実際いつ起こるかわかりません。
可能な限りトラブルを防ぐためには、入居者募集の際の広告や重要事項説明書、賃貸借契約書、
更新料の具体的な内容・条件など、契約の各段階において明確に記載するのはもちろん、口頭
でもしっかりとお伝えすることで、かなりの確率で抑えることができるでしょう。
トラブルは事前に抑制できるものもあれば、起きてしまった後の対処で方向性が決まるものな
ど様々です。
何かお困りごとがあるオーナー様は一度ご相談されてみてはいかがでしょうか。
不動産の賃貸管理でお悩みのオーナー様は、お気軽にセンチュリーダイソーへお問い合わせ
ください。
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